日本の年間自殺者数は98年から7年連続で3万人を超えている*1。新聞各紙でご覧になった諸兄も多いだろうが、日本の自殺者数は1998年に急激に増加し、その後3万人超で推移している。ここでは警視庁のH17統計資料*2を載せておくが、1998年に何かがあるように見える。

1998年の自殺者数増加については「団塊の世代が自殺好発年齢になったという点及び不況に求められる」とされている*3。太平洋戦争後のベビーブームにより「団塊の世代」と呼ばれる人口増加はたしかに存在する。下の図は2000年の年齢別人口を示したもので、50歳台の増加は顕著に見て取れる。

しかし、ベビーブーマーによる人口増加が主な原因であるとするならば、自殺者数もピークをうった後、減少するはずなのに、自殺者数は7年も頭打ちの状態である。そもそも、ベビーブームによる人口増加には、1998年の自殺者数増加のような「とび」は見られない。そもそも「自殺好発年齢」が具体的に何歳から何歳までを指すのかも明確でなく、定量的な評価はまだできない。


Wikipediaの秀逸な記事*4によると、人が自らの意思で命を絶つことには様々な要因があり、自殺が即、悪いことであると断言することも出来ないと私は思う。ただし、残された家族はやりきれないだろう。人が自ら死を選ぶ要因はさまざまにあるが、社会現象として、その数に顕著な変化があるということは、社会自体に変化があったということで、その原因が気になる。

次に同じく警視庁の統計資料から「職業別自殺者数の年度推移」を挙げる。

最も多いのは「無職者」で平成不況によるリストラの影響を感じる。景気が上向いたと言われる昨今、いまだ自殺者数が減らないのはなぜなのだろうか?いわゆる「格差問題」と括ってしまっても、ひとりの人間が死を選ぶ具体的な事例とは遠のくばかりである。

また、日本に於いて特筆すべき自殺理由については、いわゆるサラ金からの過酷な債権回収が遠因とされるものも数多く含まれると考えられている。(Wikipedia)

先日のアイフルの業務停止処分に象徴されるように、日本国もやっと重い腰をあげたようなので、H18年度の自殺者数が減少するようなら、1998年自殺増加問題の原因としてサラ金が重要な要因となる。しかし、1998年に何が起こったのかはまだ分からない。1998年にサラ金業界に何かが起こったのか?ちなみにこの年、武富士はに東証一部上場している*5
日本には切腹という自死を美化する文化がある。経済的な問題から「俺が死ねば家族が助かる」と自ら死を選ぶことは、彼の中ではきわめて合理的であるのであろう。いづれにせよ、まだ何も分かっていない。1998年に何があったのか?

4月1日 - 日本版金融ビッグバンスタート
6月22日 - 金融監督庁発足
7月25日 - 和歌山毒物カレー事件発生
7月30日 - 小渕内閣発足

1998年の流行
カメラブーム。女子高生がいつもレンズ付きフィルムを持ち歩くようになる。中古カメラも人気に。

1998年のファッション
厚底靴

1998年の世相
今年の漢字「毒」・・・和歌山毒物カレー事件の余波で毒物混入事件が多発。インターネットで毒物を注文して自殺する事件などがあった事から。

日経平均株価
始値終値:14956.84/13842.17

企業
銀行破綻:日本長期信用銀行(10月)

没年
2月19日 - 新井将敬、政治家(* 1948年)
11月11日 - 淀川長治、映画評論家(* 1909年)

http://ja.wikipedia.org/wiki/1998